TOEIC ライティングの勉強法
あれ?TOEICってライティングもあったっけ?
思わず、過去のTOEIC受験時の記憶をたどってしまった方もいるかもしれません。
TOEICで受験者が多いのは、TOEIC L&Rというリスニングとリーディングの英語試験です。
ライティングテストは、TOEIC L&Rとは別試験の、TOEIC S&Wというスピーキングとセットになった試験で行われます。
2006年から始まったTOEIC S&Wは、年々右肩上がりに受験者が増えています。
日本のお隣の韓国においては、TOEIC S&Wのスコアを重視する企業が多くあります。
TOEIC S&Wは、よりビジネスで求められる実用的な英語能力を測ることのできる試験として、日本企業においても注目が高まりつつあります。
この記事においては、TOEICライティングテストの傾向と勉強法をご紹介します。
TOEICライティングテストの傾向
ライティング試験といえば紙に鉛筆を思い浮かべるかもしれませんが、TOEICライティングテストにおいては、全ての受験者に1台ずつ用意されているパソコンを使って解答します。
英検2級から始まるライティング試験では紙に鉛筆で記載する方法なので、TOEICのライティング試験形式に戸惑う人もいるようです。
タイピングが苦手な人は、事前に練習しておく必要があります。
TOEIC S&W 公開テストのライティング試験においては、日常的なやり取りやビジネスシーンから出題され、実践的な英語力が問われます。
試験時間は60分間で、8問出題されます。
最初の5問は写真描写問題で、与えられた2つのワードまたはフレーズを使って、写真の内容に適した一文を作成します。
5問で8分しか与えられないので、1問にかけられる時間は1分半です。
次の2問はEメールを作成する問題で、まず問題用紙記載の英文を読んでから返信のメールを作ります。
1問につき10分与えられますが、ここには最初の英文メールを読む時間も含まれているので、速読理解力も問われます。
最後の問題は、提示されたテーマについて自分の意見とその理由・例を記述する問題です。
この意見記述問題には、試験時間の半分である30分間が与えられます。
ライティングの採点基準ですが、語彙量の豊富さと、語彙と文法を正しく使いこなしているかどうかに加えて、内容の質についても評価されます。
特に最後の意見記述問題においては、理由や具体例を挙げて主張を論理的にサポートできているかどうかが重要な評価ポイントになります。
英文ニュース・メールを書き写す
英語がそれほど得意ではなかったり、英語は好きでもいざ英文を自分で作ろうとしても書けないという人におすすめな勉強法は、良質な英文を書き出すことです。
TOEICではビジネス分野からの出題が多いので、新聞記事や報道週刊誌の記事が適していることは確かですが、英字新聞で和訳の記載があるのはごく一部です。
NHKラジオ英語講座やテレビ英語講座のテキストは、1冊500円程度と安価で一文ごとに和訳もついているので活用するといいでしょう。
タイムリーなニュース記事を紹介する講座や、ビジネス英語の講座もあるので、書店に立ち寄って自分のレベルに応じたテキストを探してみてください。
TOEICライティングでは、Eメールの作成問題が複数出るので、英文メール作成の本も1冊購入するといいでしょう。
英文メールでは、普段の一般的な英文では使わないような表現も多いので慣れが必要です。
Following your previous e-mail, I am writing to confirm that I can speak at next year’s conference.
前回の貴殿からのメールを受けまして、来年の会議でスピーカーを受諾できますことをお伝えいたします。
たとえば上記の英文を一つ覚えておけば、次の例示のように様々に応用できます。
Following your e-mail of 20th November, I am writing to confirm that I can attend next meeting.
11月20日の貴殿からのメールを受けまして、次回会議出席の旨をお知らせいたします。
英語上級者であれば、英文テキストだけでもいいのですが、初・中級者は必ず和訳が一文ごとに添えられているものを選びましょう。
何度も英文を書き出していくと、ある単語の後には必ず一定の前置詞やbe動詞がついてくるなど、文法のルールに気付きます。
繰り返し英文の書き出しを続けることで、語彙量が増えるだけでなく、正しい用法を自然と身に着けていくことができます。
英語に苦手意識がある人は難しいことを一切考えず、ただ英文と和訳を一文ずつセットで何度も書き出すだけでも、3ヶ月後には目に見える成果を実感できるはずです。
基礎となる単語や文法を覚えてから、和訳→英訳に進むというのが王道の勉強法ですが、即効性があるのは正しい英文をどんどんインプットしてしまう勉強法なのです。
特別な能力は必要なく勉強すればするだけ誰でも英語が身に付きますが、量をこなす気力と根性は必要です。
意見記述問題の勉強法
TOEIC S&Wの受験者を最も悩ませるのが、最後の意見記述問題でしょう。
短期間で効果を上げる勉強法としては、TOEICライティングや英検1級・準1級のライティング問題集の模範解答を一通り音読して書き写す勉強法がおすすめです。
また音読と書き出しか!と思うかもしれませんが、英作文の書き方は日本語の作文とはかなり形式が異なるため、ある程度型に慣れる必要があるのです。
日本語の作文においては、起承転結が理想的だと言われますが、英作文においてはまず結論を先に書きます。
結論の書き出し方にしても、一定のパターンがあることに気付くはずです。
たとえば、テーマが “Smartphones have made the world better place to live(スマートフォンは、世界を住みよい場所にした)”だったとしましょう。
書き出しの模範例を挙げます。
I firmly agree with the opinion that smartphones have made the world better place to live.
(スマートフォンによって世界が住みよい場所となったという意見には、同感です。)
このようなテーマは、もっともシンプルな二元論を活用して意見を述べることができます。
物事を2つの対立する意見に分けて、その優劣を論じる方法で、これはディベートと同じ手法になります。
まず最初に意見表明するときは、テーマに基いていることを明確に表すために、テーマで使われている英語表現を使うと間違いありません。
二元論のどちらか一方の立場を取らず、双方のメリット・デメリットを述べた上で、二元論の無意味さを結論づけることもできます。
このような二元論を用いた英作文が多いので、様々なテーマによりどのような主張展開がされるのかを、まず知ることが重要です。
最後の問題においては、英語能力に加えて英文の主張内容に説得力があるかなど、内容的な評価もされます。
日頃から新聞の社説などに目を通し、事実(一面などに記載されている事実関係の報道記事)に対してどのような主張がなされ、その主張を支えるためにどのような理由や具体例が提示されているのかを意識してみるといいでしょう。
まとめ
Brain-stomingとは、日本語でもブレーンスト―ミングと言われるようになって久しいですが、問題解決をするために様々なアイディア考えることです。
TOEICライティング試験は時間が限られているとはいえ、ブレーンストーミングをしてどのような展開によって主張に結びつけるかを考える必要があります。
やみくもに考えても時間ばかりかかって、肝心の英作文に費やす時間が少なくなってしまうので、ここで日頃の勉強で習得した知識や慣れが功を奏します。
TOEICが公式ホームページや公式問題集で公表する模範解答をインプットすることで、TOEICが英作文に求めていることを的確に捉えることができます。
TOEICライティング試験はまだ始まって10年経っていないことから、ライティング試験の歴史が長い英検1級の過去問題と模範解答も学習すれば、鬼に金棒です。
リスニングやスピーキングほど、海外在住経験の有無が結果に影響しないことが、ライティング試験の良さでもあります。
普段から日本語の新聞を読み、社会問題に広く関心を持っている人であれば、ポテンシャルは十分です。
模範解答に多く触れることで英作文のパターンを習得すれば、ライティングの意見記述問題は実力を発揮できるチャンス問題となることでしょう。
⇒ TOEICの勉強法と試験の概要を紹介!