TOEICの勉強法!高専生は技術をテコにリーディングスコア・アップ
理系なので文章読解は苦手!
技術が分かればよいので、英語的にわからない文章があっても感覚的に理解をしている。
そんな状況からステップアップしたい人に高専生ならではの英語勉強法をご紹介します。
ツールは使いこなしてこそ
英語は勉強のための手段であって将来英語で仕事をするわけではないから、「書いてあることがおおよそ理解できるレベル」で良いと考えている高専生も多いのではないでしょうか。
普通高校に比べて勉強することが専門的で単位数も多いので英語を深く勉強している時間はないという事情は大変よく理解できます。
実際のところ、筆者もそうでした。
ただ、学生時代を終えて技術の世界で仕事をして行こうとするならば、英語は避けて通れません。
筆者も技術者ですが、現在は世界を飛び回って日本人以外とコミュニケーションをしながら仕事をしています。
今やどんな製品においても、必要な技術が1つの会社だけで完結するということは稀であり、他社との連携(アライアンス)が必要となります。
その時のコミュニケーションに使われる言葉はほぼ英語です。
技術的に正確なやりとりをしなければいけないので、「おおよそ」や「大雑把」では不十分です。
英語を「ツールとして使いこなす」レベルになっている必要があります。
このレベルになっていないと英語で伝えることにばかり注意が割かれてしまい、肝心の技術内容に集中できないのです。
つまり、課題としては「ツールとしての使いこなし」ために「英語文章を正しく理解する」「コミュニケーション手段として興味を持つこと」ということになります。
英語が役立つ分野
まず、英語で調べたいと思った分野を選別しますが、ポイントは「日本語よりも英語で提供されている情報の方が広いまたは深い」分野を選ぶことです。
これが逆であると、いずれ日本語で調べる状態に戻ってしまいます。
電気工学の基本例で説明してみましょう。
後から思えば簡単なことですが、最初に躓くのがRLC回路にまつわるキルヒホッフの法則です。
そもそも日本語の教科書が難しかったです。
日本語で長々と色違いの絵が入って説明されるよりも、英語で論理的かつ簡潔に説明された方が頭に入りやすいこともあります。
これがまさに「英語で調べるための選別基準」です。
私が高専生の頃はインターネットは商用になっていなかったので、MITの新入生が使っている分厚い英語の教科書を使いました。
日本語よりも理解しやすかったことを覚えています。
今ではインターネットがありますので、例えば次のような情報Applications: LRC Circuitsを参照すると良いでしょう。
この例では日本語より平易な表現ということで英語情報を選定しましたが、その気があれば関連情報をたどってさらに深く調べていくこともできます。
では、英語情報を読み解く方法を具体例で説明していきます。
英文の構成に慣れる
学ぶ側にとって新しい技術分野を覚えるということはある意味「挑戦」です。
最近は教える側もそれはわきまえていて、文章の組み立てもわかりやすい構成(章立て・段落等の構成)にしています。
MITの例でいうと”Maxwell’s Equations in 5 minutes”というような解説もあったりして面白いので、例として取り上げてみましょう。
Maxwell’s Equations in 5 minutes
これは「5分で分かるマクスウェル方程式」というタイトルです。
You can find Maxwell’s equations all over the Internet. However, most are esoteric derivations that don’t really explain what they mean well enough. As our course proceeds from Maxwell’s Equations, I thought it would be nice to understand them from an intuitive or ‘natural’ perspective.
タイトルに惹かれて読もうと思った人をある意味で安心させるリードです。
これは次の様な意味です。
”マクスウェル方程式をネットでいろいろ探してここに辿り着いたたんだね。でも、どのサイトもその奥義とされる部分は十分に説明しきれていなかったんじゃないのかい。僕らのコースは、まずマクスウェル方程式から始まることになるので、もっと直感的に理解しようと思う。”
Maxwell’s Second (Gauss’ Law)
ここから第二法則の説明に入りますが、
All our imagining is going to be in 3 dimensions.
として、考え方のフレームワーク(枠組み)を与えています。
これによって続く次の説明が理解しやすくなります。
Let’s imagine placing a positive charge X in an empty space.
// 中略 //
As we move away (carrying the Y test charge with us) from X, the force becomes weaker.
技術的な説明では十分ではないかもしれないので、次でアナロジー(他のものに例えて説明する類推)を使って、理解を助けています。
An analogy is appropriate here. Consider a spherical balloon that has a charge X in its center.
The field projected by the charge onto the balloon is now spread uniformly on its surface. As the balloon is pumped with air to expand, it’s surface area increases. The field of the charge now has to cover a larger surface area and hence it thins out (the charge remaining constant).
これは電荷が多くチャージされたとしても等距離にあるところの電界は一定になり、離れるほど単位面積当たりの電界は弱くなるという話を風船の表面が薄くなるという話に例えています。
これほどわかりやすい説明が筆者が学生の頃にあったら…と思いました。
The surface area of a round balloon is proportional to the square of distance between the center and the surface.
// 中略 //
Restated, if you box a charge in a container of any size or dimension, the total field going out of it or coming into it (depending upon the sign of the charge) remains the same.
The Divergence of an electric field is proportional to the charge density.
∇⋅E⃗ =ρε0
このようにして、風船に例えた電界を全て足し合わせると距離に寄らず一定になるということをまとめています。
風船の例えがなくて、いきなりこの方程式が出てくると9割の人が理解できないのではないでしょうか。
おさらいしますと、技術的な解説というのは次の構成を持っています。
①背景と目的(技術と本説明のポイント)
「誘うリード」
②概要(全体像と登場要素の説明等)
③内容説明(詳細またはポイント)
「理解を助ける例」
④まとめ(技術および説明のポイントおさらい)
どこかで見たことはありませんか?
そうです。ニュース等の人に説明する文章は自ずとこのような構成になるのです。
構成を頭に入れて読む
もう一つ、構成の定石を頭に入れながら先に説明したRLC回路の例で説明しましょう。
まず、登場人物(要素)の説明です。
1. Simple circuit physics(簡単化回路で物理的性質の理解)
The picture at right shows an inductor, capacitor and resistor in series with a driving voltage source.
最初に一言で言い切った後に個別要素の概説をします。
// 中略 //
R is the resistance in ohms.
C is the capacitance in farads.
次に個別要素間の関係性を式で示します。
From physics we get that the voltage drops across each of the circuit
Elements…
そして最後に「これだけ覚えれば、この回路は理解できる」と言い切って読み手を安心させています。
The amazing thing is that this and Kirchhoff’s voltage law (KVL) is all the
physics we need to understand this circuit.
どうでしょうか? 技術文というのは実はこれだけ丁寧に説明されていますし、慣れてしまえば日本語よりわかりやすいと思いませんか?
ノートに書いて効果を知る
忘れてはいけないのは内容のポイントをノートに書き写していくことです。
そもそも勉強のために英語で読んでいるのですから当然ですが‥。
ただし、英語の構文を理解した上でのポイント出しができるはずですから、これまでよりも的を得たノートになるはずです。
つまり、「目的」「概要」「まとめ」が英語で書けていると思います。
まとめ
日本語で難解だと思ったら、英語で調べる力と理解する力を付けて下さい。
英語は論理的な説明に向いているので、ノートに書くまとめも研ぎ澄まされ勉強もはかどるはずです。
もちろん、英文を読み解く力も付いてきます。
高専生の皆さんが、国際エンジニアとして活躍されることを願っています。